□Ending−1 / 欠片に刻んだ回顧録  ScenePlayer/御堂 忍

事件から数日後が経った。
血をごっそりと抜かれてヘタレってた奴も何とか回復し、何時もの日常が戻ってきて。
そんな矢先に掛かってきた連絡。 予定をしっかりと決めて――当日。
学校近くの公園に3人が集まった。

: 「……で、えーっと。 何処から回って行きましょうか。」
: 「なんだか、お二人の邂逅にお邪魔するような形になってしまいましたね…」すみません、と恐縮しつつ。
星夜: 「俺達は何で休日に野郎3人でこじんまりとした名所巡りしてるんだろうな、そう思わないか。冴」
SubM: 携帯で交通アクセス見つつ。
: 「い、いえ忍さんは気にしないで下さい。 あと君はどうせ暇だから問題無いだろ。」 決めつけつつ。
: すみませんねぇ…と困ったように笑いながら頭を掻いて。のほほんと二人のやりとりを眺める。
星夜: 「どうせとか言うなよ。妹にヘビィボウガン教え込んだから10分切り出来そうだったのに」ぶーぶー。
: 何だかんだと仲良しさんだなあとか思いつつ。
: 「ともあれ、先に資料館の方から回って行きましょうか。 あそこの梅、今が咲き頃の筈なんですよ。」
星夜: 「ああ。何かこの虚弱ボーイがいつも迷惑かけてすいませんね。えーと…御堂さん」キリッとしつつ。
: 「そうなんですか〜……はい?」横向いて。
GM: 星夜にはほら、あの昔よく行った刀とか色々と飾ってある場所とか言って。
星夜: 「昔はそうでもなかったんだが。何だか最近よく貧血とか失踪とかもう僕星夜のモンハンの同行嫌だ!とかいうんで」キリッとして御堂に。
SubM: 今 回 の 自 分 の 事 を 棚 に 上 げ た
GM: ぇぇー。
: 「…最後は関係ないのでは………」
: 「……何と言おうか。 君から掛けられる迷惑に比べれば遥か彼方にマシだとでも言えば良いのか――」
GM: ヘッドロックする・・・(何
: 「ま、まあ。貧血も失踪も、僕に迷惑が掛かっているというわけではありませんし」どうどうどうどう。抑える(何)
星夜: 「関係…ないのか…あふん」(何)
星夜: 「焼肉行った時に最近お前には血が足りないからレバー食えよ!と5人前を冴に押し付けたら何か黄昏てたのは覚えている」キリッ。
: 「カルビとかロースとか美味しい部分を全部掻っ攫った挙句に押しつけられれば文句も言うわっ!?」
星夜: 「いや。これ純から受け継いだ技だったから。文句はあいつに言ってくれ」キリッ。
SubM: 星夜はそーいや、あいつどこまで転勤してるんだっけなと、ぼやきつつ。
: 「八渡君、でしたっけ。……どんなご友人だったのですか?」
星夜: 「ああ。あいつかー。俺が馬鹿な事思いついたら、じゃあやろうぜ!と身を乗り出してやる奴だった。冴は俺達のおまけ」
SubM: ほてほて、と。刀の説明文見つつ。
GM: その言葉には苦笑しつつ。
: 「ふむふむ、八渡君は率先型だったのですか」相づち一つ入れ。
: 「となれば、七不思議探索もそういった流れだったんですね」
: 「中学の頃から2人は友達だったから……それに巻き込m 押し込m 一緒にさせて貰ってたって感じ、かな。」
星夜: 「まー、なんていうか。俺も似たようなものだったが。一つだけ違いはあったな」
SubM: ごきり、と首を動かしつつ
: 「まぁ……うん、そうだったかな。 とは言え、あの時の言いだしっぺはある意味僕だったけど……。」 てれ。
星夜: 「あいつは思いつめるタイプだったな。ミスとかしたら。怒られるのは皆同じなんだが」冴も含めて、だが、とはつづけつつ。
: 「僕も高校の時分には似たような事をしましたよ。懐かしいですね」昔の事を思い出して、目を細め。
星夜: 「御堂先生も、国語の授業中に俺の設定ノートとか作った人ですか…」(何)
: 「それはないです」きっぱり(何)
: 「晃野さんは……その、作ったんで、す、か………?」(何)
: “先生”って肩書きは要らないですよと手をぶんぶんと振る。
星夜: 「やんごとなき、を『止む事も無し。俺の情熱』とテストに書いて呼び出された事はあるな」(何)
: よく考えたら全員「先生」って呼ばれる職業だし…(何)
SubM: ギターを弾く真似をしつつ(何
: 「そう、ですか…………」沈痛…(何)
星夜: 「何となく洋楽を聞いて俺カッケーとか思うそんなノリはあったな…」(何)
: 「中学とか高校辺りで目覚める傾向がありますよね。必殺技が無闇に英語になったりとか」(何)
星夜: 「そうそう」(何)
: 「エターナルフォースブリザードとか、ファイナルフラッシュとか……」(何)
: 「そう言えば君、一時期洋楽に嵌まって軽音部で歌う曲が全部洋楽メドレーとか……あったね……。」
GM: 何か思い出した・・・(何
: 「それは凄いですねぇ」素直に感心。
星夜: 「文化祭巻き舌でお送りした洋楽メドレーは伝説になったな」(何)
: 「おおー」伝説を良い方向に解釈しました(何)
星夜: 「まー。そんな俺のノリにもついてこれた希少な人材だったんだわな。純は」
: 「心の広い方だったのですね」
星夜: 「どーも冴は引っ込み思案で困る」
: 「君たちが突っ走り過ぎだったんだよ……。」 はぁ、と息漏らし。
星夜: 「この刀カッケー、ダース○ーダ―と宇宙の彼方で斬りあいたい、とか言っても『僕はどう返せばいいのさ!』とか真顔で言うからな」刀指さしつつ(何)
GM: どう切り返せば良かったのでしょう……とそっくりさんに(ry
星夜: 「いまはどこにいるかも知らないけれどな」
: 「…………笑えばいいと、思いますよ…」考えた末、苦し紛れに冴を見た(何)
GM: 何処にいるのか、と言う言葉には。 多少表情を曇らせて苦笑する。
: 「……そんな八渡君だったら、何処に行っても友人は居ますよ」
: 「自分を、周りを…見失わない限りは」
星夜: 「そうかねー」
GM: そんな最中に空気を読まないゲームBGM音。 星夜の携帯から鳴ってるっぽい気もする。
: “仲間が欲しい”と言った、彼。裏切られたと思いながら存在した八年間の孤独は――容易く理解しようもないくらいに深いものだったのだろう。
星夜: 「おおっと。マナーモード、マナーモード」取ってひょこひょことはなれる。
GM: 星夜が電話で離れて行く様子に軽く息を吐き。
: 「……有難うございます、今回の事は……本当に。」
GM: ぽつりと呟く。
: 「いいえ」
: 「心の傷をケアするのも、医者の務めですよ。それに、他ならぬ友人とその友人のためならば、余計に」
: 「当事者同士では拗れてしまう事もありますし」
: 「……君にお願いして、本当に良かった。」
: 「ただ………もし、彼が。絶望の淵にあっても友の言葉を信じていてくれたなら……いえ」詮無きことだと頭を振って。
GM: 視線を元に戻せば、星夜がさっさと来いよーとでも言うように手を振っていた。 電話も終わったのだろう。
: 「……そう、願いたいです。 本当に――」
GM: 行きましょう、と言って此方も星夜の元へと。
: 「何かあっても、僕は、冴を…最後まで信じますからね」頷いて、自分もゆっくりと冴と共に向かう。
: ――今回の事に、何か救いを求めるとするならば、彼が創り出した過去の冴の姿だろう。
: 穏やかに笑っていた。
: 憎しみに身を焦がしながらも、彼の記憶にあった友の姿は、
: こんなにも優しい笑顔の記憶。僕は、それから目を離す事ができず。
: こうする事しかできなかった事を深く悔やみながらも、彼の心の安寧を願った。



□Ending−2 / 戦い終わって日も暮れて  ScenePlayer/羽生 大助・相模 明良

あれから無事にUGNは処理を開始する事が出来た。
破損した旧校舎に関する工作や今回の事に巻き込まれた生徒達のケアなど、やるべき事は色々とありそうだ。
ともあれ、お疲れ様とのねぎらいの言葉と共に。 今回の報酬など色々説明しておきたいと呼び出されたのだった。

明良: 「計二一名の記憶操作に情報操作。なかなか大規模になりました」(何)
大助: 「21名で済んだのが驚きだ」(何)
明良: 「あとはソラリスぱわーでなんとかなる範囲だったんじゃないですか」(何)
明良: 出頭しますた
美鈴: 「そうですね、21人程度でどうにか済んだのは……運が良かったと思います、本当に。」
GM: どうぞ、と紅茶を差し出しつつ。
美鈴: 「結果的に八渡純――の意識を持って蘇った黒曜石の欠片は今回の事で消滅したと言う事になります。」
明良: ふんふん。ソファに座って、紅茶を冒涜するクラスのミルクと砂糖を投入しつつ良い子の姿勢で聞く。(何)
大助: 「そうであることを願いたいね。こんな事件に巻き込まれるのはもう御免だ」
明良: 「あの学校に通っている限りはちょっと保証がしかねますな……」(何)
美鈴: 「恐らく、黒曜石が喰らってきたあらゆる妄執が暴走した結果でしょう。 しかし、それも今回の事で完全に断ち切る事が出来た。」
大助: 「仕事しろよ世界の守護者」イヤそうな顔をする(何)
GM: 不滅の妄執、とでも言えば良いのでしょうかとか言いつつ。
明良: 「前々の事件から連鎖しての出来事なんでしょうが、何か今回の事件につながるきっかけは?」
明良: 仕事してるからこの範囲ですんですんですよ。キリッ。(何)
明良: 済んでるんですよ。(何)
美鈴: 「……あれでも、8年前――いや、今回に連なる原因となった事件が起きる前までは、黒羽学園所属のOVはおろか、市全体のOVの数が少なかったのですけどもね。」 苦笑して。
美鈴: 「そうですね……考えられる要因としては、以前の黄泉返り事件が関わっていると推測されます。」
GM: オモイデ様のあれね、とか何とか。
明良: 「────つまり、他組織や個人の干渉などで意図的に起きたものではないと」
美鈴: 「ええ。 少なくとも彼の復活に関しては“偶然”が重なった結果だった。」
大助: 「どうやっても防げなかったってことか。救えない話だな」
美鈴: 「……今回の件に関して、FH等が動いたと言う話は一切ありませんでした。 この事から考えても、彼の暴走による結果なのだと思います。」
明良: ふーんって目で見る。黒い石。どっかで聞いた昔話にも出て来たなそういや、とか思いつつ。(何)
明良: 「そういえばー。その暴走に巻き込まれて覚醒した、みやなんとかせんぱいは今後どうなるんでしょうか」にゃん。
美鈴: 「皆さんの聞いた話を統合すると、彼は恐らく皆さんを自分と同じように――即ちジャームとする事を一番の目的としていたのでしょうね……。」
美鈴: 「現在、四季守さんにお願いしてこの世界に関する事を説明して貰っています。」
大助: 「随分とオーヴァードを毛嫌いしていたみたいだからな、すんなり話がまとまればいいけど」
明良: 「化け物であることを身を以って知った以上、考えも変わると期待しましょう」こーせんぱいたちの説得もあったですしー。ふんふん言いつつ。
美鈴: 「恐らくそれも、黒曜石によって負の感情を刺激された結果でしょう。 一番強い影響を受けていた様子ですから。」
大助: 「自分の命が危ないっていうのに、揃いも揃って物好きな連中だな」(何)<説得
明良: 「慣れてるんじゃないですか」ぽやん。(何)
明良: 「──何にせよ、宮本先輩も分かったことでしょう。既に変貌していたこの世界。残された日常と絆の、その有難みがね」
明良: もっさもっさかっぱえびせん平らげた
美鈴: 「……この様な形で、ではありますけどもね。」
大助: 「たとえ切っ掛けがあの石だったとしても、元々そういう気持ちがあったことは確かだとは思うけどね」
大助: この先のことについては知ったことではないとばかりに紅茶をすする。
大助: 「紅茶にかっぱえびせんはどうなんだ?」(何)
明良: 「べりーまっち」(`・ω・´)
明良: 頭悪そうな返答をしつつ、ごっきゅごっきゅ紅茶を飲みほした。(何)
美鈴: 「八渡純も――狂わされた中でも絆を願った。 しかし、彼は既に絆の結び方が分からなかった。」
美鈴: 「だからこそ、今回の事件を起こしたのでしょう。 全てが同じになれば仮初でも絆が結べるかもしれない――そんな淡い期待を抱いて、」
GM: ともあれ、と。 大助君の前に封筒を置き。恐らく今回の謝礼だろう。
明良: 超うらやましそうに見る。(何)
大助: 「――もう終わったことだろ。消えてしまったやつを哀れんだってしょうがない」
大助: 「明日は我が身だしな」
大助: 一応礼を言って封筒を懐へ(何)
GM: 明良さんには後でかっぱえびせんあげるから(何
明良: 今回の報酬:2かっぱえびせん
明良: チルドレンせつない
大助: 「居候の身としては食い扶持くらいは自分で稼ぎたいんだよ」(何)
明良: 「苦労されてますにゃー」(何)
明良: よし、じゃあそろそろ出るか。世間話を切り上げて、立ち上がる。
大助: もらうものはもらったし帰る。(何)
美鈴: 「……今回の事は本当にお疲れ様でした。」
GM: ふかぶかと頭を下げて2人を見送る。
明良: じゃあせめて、かっぱえびせん3袋にしてもらえないか交渉してから帰る。(何)
大助: 「今回は成り行きで手伝う形になったけど、次はそっちで何とかしてくれよ」
大助: ブワッ
明良: <報酬
明良: 「おういえ。──そのつもりでがんばります。今回はありがとうございましたー」
美鈴: 「勿論、最善を尽くします。」
明良: そんな羽生を見送りつつ、美鈴ちんと話し合いが続いた所で私はいいよ(何)
大助: 普通にそのまま帰ったってことで。(何)
GM: おういえ(何



□Ending−3 / 戻ってきた日々  ScenePlayer/クララ・フォン・ブランデンブルク

あれから貴子には軽く検査が入った。
即ちOVとして覚醒しているか否かを確かめる為に。
伝えられた結果は――白判定。 覚醒を如何にか阻止する事は出来たらしい。
そして、数日後。

貴子: 「はー……何と言うか、良いネタが最近無いのよね。 新聞に書くネタ、どうしよう……。」
GM: クララさんを前にして、そんな事を言い出した。
クララ: オープニングの会話も記憶操作で消去・・でしょうか?
GM: いや、七不思議を追ってたって記憶まではあります。以降の事は記憶操作が入ってますが。
クララ: は〜い
クララ: 「特集記事が必要になるのは事件が起きたって事でしょうし。記者もまた・・因果な役目ね」 苦笑しつつ
貴子: 「なのよね……。 何と言うかこう、びっくりどっきりな噂とかも特に今流れてないし。調査ぢからが振るえなくて振るえなくて。」
クララ: 七不思議については、現場が戦場ですし ださないほうがいいです・・?
GM: 別にどっちでも良いすよ(何
クララ: では・・・
クララ: 「七不思議・・についてはお蔵入りなのかしら?」
貴子: 「あれはねー……。 調査がなかなか進まなくて。今年の夏までにはどうにかしようかなーって。」
GM: 即ち半分諦めた宣言。
クララ: 「貴方がそうなのなら。相当手強そうね…」 と返しつつネタがないとか噂もない という言葉に記憶操作の結果を改めて感じます
クララ: 「(結局、こうするしか道はないのよね。記憶を操作し、隠し続ける。)」
貴子: 「面白そうなネタは結構あるのだけどもね。 トイレから伸びる白い手とか、蛇口をひねったら赤い水とか。」
貴子: 「ただ……何か最近、見回り強化月間なのか夜の警備がちょーっと厳しくてね。 調査しようにも……と言う感じ。」
クララ: 「(彼は、それを放棄して相手を自分のステージに上げようとした。)」
クララ: 「面白い・・のかしら。そして、警備の事を知ってるって事は・・・試してみたの?」 少し驚きつつ
貴子: 「まぁ、それでも流石に暫くすればほとぼりも冷めるかなと期待して――ん?」
GM: 内緒ねー、と目が語っているような気がした。
クララ: 「やっぱり記者が似合ってるわ。貴方は」 微笑を浮かべつつ しかし、さっきまでの思考の影響で少し優れず ノイマンなのに!
貴子: 「褒め言葉として受け取っておくわ。」 きりっ。
クララ: 「ええ、褒めてるわよ。手放しではないけれどね?」
貴子: 「まぁ、仕方ないから既存のネタで誤魔化すしかないのかなぁ……数年前に学校の文化祭で伝説を残したステージな噂の取材とかそれくらいしか無いけど。」
GM: またまた手厳しい事で、と冗談じみた口調で。
貴子: 「――まぁ、此処でじっとしていても仕方ないか。 時間は短し動けよ乙女、的に足を動かすしか無いわね!」
GM: ほら立って立って!と何かフツーにクララさん巻き込む気満々なのはどうなんですか。
クララ: 「その意気よ。」うんうん 「ってわたしも?」
貴子: 「えっ」
クララ: 去るのを見送ってから暗い思考に戻ろうとして考えていたところを揺り起こされて立ち上がり
貴子: 「知ってる?クララさん。 この学校では、転入生は学校の事を知る目的として新聞部の手伝いをしないといけないのよ。」
GM: 真顔で嘘を言った(きりっ
クララ: 「え、そうだったの?」
クララ: 今まではそんな事言ってなかったのに と少し驚きつつ
貴子: 「そうそう。 そしてより学校に溶け込む為には新聞部に所属しないといけないのよ――!」
GM: 押してまいりました。
クララ: さすがにそれは嘘だと気付き 「…嘘ね?」 じと目?でみつめつつ
貴子: 「……流石にばれちゃう、か。 だけど、誘いたいって言うのは本当よ?」
GM: だから良かったら考えてみてね、とは言いつつ。 さて取材取材と今はとりあえず巻き込もうとする。
クララ: 「記者が嘘をついたらダメよ」と冗談っぽく嗜めつつ 「ありがとう。部に入るかはともかく・・手伝いはさせてもらうわ。」
クララ: 真実を隠す事に慣れた自分にはジャーナリストの資格はないな〜と思いつつ
GM: 話が分かるーとか言いつつ、クララさんの腕を引っ張って廊下へと連れ出す。
GM: これもまた、日常の1ページ。



□Ending−4 / 新たなる世界へ  ScenePlayer/津嶋 皓

こうして一連の騒動は何とか終息した。
事件以降、大吾は暫くの間入院の為に休みとされていた。
――どうやらその休みを利用し、UGN側から色々と説明を受けているらしい……との話を聞いたりして。
何時戻るのだろうかとか考えた矢先、街中でばったりとその人物と偶然会う事になるなんて。

大吾: 「……よぅ」決まり悪そうに。
: 「あ」
: 「宮本。久し振り」元気だったか? と続けようとして……止めた。言わずもがなだろうと思ったから。
大吾: 「…そうだな」墓前に捧げる花束を抱えて。
大吾: 「時間あるか。津嶋。俺はこれから美樹の墓に向かう所なんだが」
: 「──それ……」彼女に? と。言葉には出来なかった。詰まった様に目を落として。
SubM: 出来れば、と。言外に。
: 「……えと、それはどう言う……あ……」
: 「いいのかな。僕が行っても」
大吾: 「いい加減、俺も現実を呑み込んでしまうべき、というのはある」
: 「──そっか」
SubM: 薄汚れた携帯をほおり投げる。彼女の携帯。
: 「おまえがいいってなら、つき合うよ。……と?」
大吾: 「かといって。俺一人では…結局墓の前で踏みとどまったままだ」
: 投げられた携帯を取り上げ。見た。
SubM: 大吾は大柄な身体を丸めるように歩き。
大吾: 「UGNから聞いたよ。ある程度の事は。…結局俺が弱かったんだろうな」
: 「それは、おまえだけの所為じゃないよ」
SubM: 墓に向かう。行き交う人を見つつ。
: 受け取った携帯。それを握りながら横に並んで歩く。
大吾: 「元々物心つかないぐらいのガキの頃は身体も弱い奴でな」
SubM: 歩く。更に人が少なくなる。
: そうなのか? と、それには普通に目を見張り。
大吾: 「だから空手を始めた。強くなりたい、と思ったからな」
SubM: そうだよ、と肩を竦めて。
: 「……そうやってさ」
大吾: 「だが結局、拳で人を殴るには強くなっても。ガキの頃から精神というのはさほど進歩してなかったんだろうな」
SubM: この様だ、と。呟いて。
: 「弱いと解っていて精進しようと思って、出来るって強さがおまえにはあったじゃないか」
: 「それだけで……弱くなんかないよ」
大吾: 「身体が大きくなった事で。弱いという事を忘れてしまった。いや。弱い自分を見ないようにしてきたんだ」
: 「弱くないから。“戻って”来れたんだろ。おまえは」
大吾: 「あの姿は俺の弱さでもある」
SubM: 霊園についた。人はいない。
: 「……僕だって、そんなの変わらない」ぽつり。一人に届く様に呟く。
: 「何度も同じことを繰り返して、強くなれなくて……そんな自分が嫌になる。ずっと同じだよ」
: 「でも、さ。宮本」
大吾: 「ああ」
SubM: 歩いて。まだ新しい一つの墓の前に。
: 「そんな僕らだけど。──“ひとり”じゃなければ、何とかなるって。僕がこうなって学んだ最大のことは、それだけなんだ」
: 「それだけでも……ここにこうしていられてきたよ。僕は」
大吾: 「そうか。それに気づいているのは相当に強いな」
: 歩みを止め、真新しい墓標の前。一旦言葉を切り、軽く目を伏せ黙祷した。
SubM: 花束を墓の前において。
大吾: 「俺は彼女が死んで。自分が一人になると思い込んで。自暴自棄になって。お前らと死んだ美樹が引っ張り上げて。”やっと”」
大吾: 「一人じゃない、と思えるようになった。彼女がいた時も。俺一人が守ろうと思ってただけなんだよ。きっと」
SubM: だから、と。息を吐いて。
: 数刻の黙祷の後、聞こえた声に顔を上げた。
: 「田沼さんが、引っ張り上げた。って?」
大吾: 「弱かった俺はここにおいていく。津嶋。携帯を墓に置いておいてくれ」
: 「あ。ああ」
: 言われて思い出した。手の中のそれに改めて視線を落とす。
: 一歩。前へと進み、膝をつき。そのまま、そっと墓前の前にそれを置いて。
大吾: 「ああ。お前らに言われていた時も」
大吾: 「あいつと同じになるならいいかもしれない、と思っていた」
大吾: 「だが。それも俺の勝手な思い込み。あいつならそういわないだろう、と思ったんでな」
SubM: 黙祷し。
大吾: 「戻れたのも死んだあいつが俺を引っ張り上げた、が俺の解釈だ」
: 「……そっか」
: 「なら、その時点でおまえは“ひとり”じゃないよ」
: 前を向いたまま、微かに笑った。場所柄、控えめなそれではあるけれど。
大吾: 「そうだな。改めてお前にも礼を言う。津嶋」
SubM: 笑わず。ただ息を長くはいた。
: 「田沼さんの存在が、おまえを引きとめた。……僕達だけの力じゃない。だから、その感謝は照れ臭いけど」
: 「僕も、改めて言うよ。──戻ってきて、ありがとう。宮本」
大吾: 「ああ」
: 横に立つ友人に顔だけを向けて。今度こそはっきりと笑いかけた。
大吾: 「俺はこの先化け物と言われようと誰かに手を伸ばす」
大吾: 「それがあいつにも報いる事だ、と考えた」
: 「そうだね」
SubM: 携帯に目を落として。
: こくり、頷いて。再度視線を宮本と同じ方向に向けた。
大吾: 「だから以前お前はまだ化け物かと思っているか、と聞かれたが」
: 「うん」
大吾: 「まだわからん。きっとこの先も理解できないままだろう」
: 「……僕は、あの時、おまえに化け物って言われて、本当に辛かった」
: 「でも、それも仕方ないとも思ったんだ。──だって、当たり前だよな。とも納得出来たから」
大吾: 「それはどうあれお前が人間でありたいと思っているからだな」
: 「そうだね。うん。その通りだよ」
: 「それでも、僕は……僕も。この先誰になんて言われようと、伸ばせる手を躊躇ったりしないよ」
大吾: 「友人であれ。恋人であれ。何か繋がっていたい、と思っているから。化け物という独りにはなりたくないと思った。そんな所かな」
SubM: 大吾はふむ、と息を吐いて。
: 「そうだね。だから、僕は諦めない。それが、人ではない僕の出来る一番の事だから」
: 「だから……おまえも、そうやって頑張って行こうよ。大吾」
大吾: 「ああ」
: 帰ろうか。と。日が落ちた周囲を見回して。
大吾: 「お前について来てもらってよかったよ。皓」
SubM: そうだな、と返して。
: 「そう言ってもらえると普通に嬉しいな」
: はは。と笑い。軽く手を振って促した。
大吾: 「一人でいく墓参りほど寂しいものもなくてな」
SubM: 冗談めかしたように言って。一度振り向いて。
SubM: 背を伸ばして歩き出す。
: 「そうだよね」
: 声に頷き、最後、場を去る直前に田沼さんの墓標を振り返る。
: ──ありがとう。君のお陰で僕は友人を彼岸に送らなくて済んだ。と。
: 誰にも届かない声で呟き。宮本の背を負った。




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