◇MasterScene
ScenePlayer/− : 登場/不可
雨の中。 倒れた男に刃が突きつけられる。 「た、たすけてくれ。勘弁、してくれ!」 立ったままの長身の人影は二度蹴りつけ。腕を踏み砕く。 男の悲鳴が途切れ途切れになり。呻き声に変わる。 何かを払うように。人影はもう一度顔を蹴りつけ。 吹き飛ばす。 人影は冷え切った氷のような刃を振り上げる。 雨露に塗れ。血の赤の刃は流れる。 「助けてくれ!」 「『ちなみ』!」 ごしゃ。 「うまくいきましたよ。レイスさん。やってみると簡単なモノですね」 「こんなに簡単に行くなんて。思いもしませんでした。馬鹿だなぁ。こんなに単純で手っ取り早い事だったのに」 「はい。はい。わかりました。では時計館に」 「ではまた後で」 携帯を畳む。 涙交じりのその目で父親だったものを見て。 「……寒い」 「……寒い寒い」 身体の何かが抜け落ちていく感覚。 携帯のポケットミラーに映った獣が雨に紛れて掻き消える。 ゆらゆらと雨に打たれたまま。何処かに消える。 「先輩」 「今行きますよぅ、あははははははははははははは」 とある病室。 女が一人。狂った声を上げて。 真っ直ぐに何処かに向かった。 「さてここまでもプラン通り」 「不安はあるかしら。“Cryaway”」 暗闇の中。一人の女がかしずく。 「いえ。問題ありません」 「”レイスの具合はどうかしら。もちそう?”」 「問題ありません。──”バックデータ”をお願いします」 「では行ってまいります。我が主」 |