◇MasterScene / もう一つの視点
ScenePlayer/− : 場所/? : 時間/2日前・夜 : 登場/不可
「――す、すみません。少し遅れてしまって……。」
「あぁ、いえ。此方こそお忙しいのにお呼び立てして申し訳ありません。」 慌てて入ってきた青年は、目当ての人物を見つければその席に座る。 ……まるで鏡を見ているようだとは、会う度に思ってしまう。そろそろ慣れるべきなのだろうが。 「それで、今日は一体如何なさったので……?」 「そうですね、その。 ……確認したかった。ただそれだけなのですけども。」 「「“僕と貴方が同じ疑問を抱いているか”。」」 「その事について……ですかね?」 予想通りの返答には、ただ苦笑するしかなかった。 ……あー、全く面倒な話だ。 もっと早い時間にこの話し合いが開始してたのであれば、此処からでも奴らの顔が見えたと言うのに。 俺の運が悪ぃのか、それともあっちの運が悪ぃのか……こっちか、間違いなく。 ま、仕方ねぇな。 端末から声が拾えるってだけでも有難いとしよう。 ――しかしやっぱおかしいな。 少なくとも、アイツの方は“コイツ”を確実に使役していた筈……もう片方はどうだったか覚えちゃねぇのが痛いが。 その割にゃあっさり主導権握れたし、そもそも“両方”からも因子の形跡すら感じられんが……所詮偽りの夢だからって事なんだろうな、これも。 ……ま、その辺りまでは別に良いか。 あっちの話も終わりそうだし、そろそろ接続切っとくかね。 そうして木に残されたのは、まだ明るい内から恐らくその場を陣取っていたであろう白鳩と黒鴉の姿。 「――それでは、僕はそろそろ。」 「お時間を取らせてしまい申し訳ありませんでした。」 時計を確認し。 ……まぁ、彼らよりも更に自分に似た状況の人がいると言う事実が確認出来たのは有り難いと思う。 其処まで考えたところで、ふと思い出す。 「……あぁ、そう言えば。 言伝を預かっています。恐らく僕……いや、“僕たち”に。」 「言伝?」 「“僕たち”の帰るべき場所、何とかあるみたいです。 ……喜ばしい事ですよね。」 「……そう、ですか。 ええ、本当に。」 ようやく互いに笑う。 ――居場所があると言うのは此処まで嬉しい事だっただろうか。 そして、別れた。 言知れない“予感”と“不安”を胸に抱き。 |