□EndingPhase / OnStage
◇Ending / 砂の中の蜃気楼
「とまぁ。こんな所ですね。何かありましたら」
薄汚れた白衣を着た少年がにこにこしつつ、現金を受け取り。確かめた後。大柄な男性と女性、そして眼光の鋭い少年の方を見て。
頷いて去る。足取り軽く。一人は重く。ただしっかりと。
ヴァンガードの司令室。残された女司令はシケモクを投げ捨てながら。
調べによるとロクモクテンのパイロットは…20年も前からのオーヴァード…スペリオル隊員だったらしい。
義に、武に、知に長じる優れた人間だった、しかし。ARCという絶対的な武の前に地を舐めた。心が折れてしまった。
──憎んだ。それを。その始まりを。ARCを。それでも届かなかった。”適性”が無かったから。
だから自分を捨てた。機械の身体になり。薬を使い
自分を変えた。苦痛と終わった未来とすべてを抱えて鬼として戦場に舞い戻った。
其の手に一人の技術士が手を貸して。終りの無い復讐鬼は完成した。
しかし。其の復讐も──とどかなかった。
仲間を捨て。敵を欺き。全てを敵にして手に入れた力も。
とどかなかった。

良くある話だ。
女司令は煙草に火をつけ。
一枚のデータディスクを灰皿の上にほおりなげ。火をつけた。
〔C/Rainbow〕と書かれたそれはあっという間に炎の中に溶けて消えた。




復讐という名の一つのおわらないはなしのおわり





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